コロナが去ったら…
今年になってまだ一度しか北海道に帰れていない。2月には仕事がありなんとか札幌まで行ったのだが、そのあと外出や移動を自粛するようにとの要請が出て、津軽海峡をわたることができなくなった。というより、東京からほとんど出ていない。
私だけではなく、いまや日本中いや世界中の人が同じ状況だろう。気の毒なのはこの春、大学を卒業した人たちだ。卒業式も中止、「社会人になる前の最後の長期休み」と計画していた旅行にも行けなくなってしまったからだ。
そんなひとりに連絡してみた。その卒業生はある企業に入社する前にイタリア旅行に行く予定だったのだ。もちろん、旅行は中止となった。私が「元気? どうしてる? 旅行、残念だったね」とLINEすると、意外な返事が来た。
「はい、とても元気です。入社早々、テレワークになったのですが、とても快適です。社内の面倒な人間関係がないので仕事に集中できます。通勤時間がゼロなのもありがたい。夜は趣味のダンスのオンラインレッスンを受けてます。」
「それはよかった。でも、イタリア旅行は残念だったね」と言うと、それにも驚くほど前向きな答えが返ってきた。
「そうですね。ただ、ウチの会社、テレワークの方が効率が良さそうということで、コロナがおさまってもこの働き方が続くみたいなんです。だとしたら、たぶん休暇もたっぷり取れるはずだから、落ち着いてからゆっくりイタリアに行きます。それに、イタリアからだってテレワークできますよね!」
ああ、若い人はすごいな。マイナスのことが起きても、それを自分の中でプラスにかえる力がある。彼女の心の中では、「コロナが去ったあとの明るい未来」への準備が着々と整いつつあるようだった。
なかなかそこまで前向きにはなれないが、「きっとこれからもっといい社会になる」と信じて新しい時代への準備をするのも悪くない。私はそう思った。
私はとりあえず、また病院に外国人の患者さんが来るときのために、英語と中国語を勉強しておこう。みなさんも、「きっともっとやさしい時代、良い時代が来るはず」、そう信じて準備を始めてみませんか?