もしかして、考えすぎ?
「考えすぎをやめる方法、教えてください」
こんな相談をよく受ける。「ケ・セラ・セラ、人生はなるようになるさ」といくらシャンソンを歌ってみても、やっぱり考え込んでしまう。そんな人も多いのだ。いくら考えても答えは出ない、と分かっているようなことでも、「ああでもない、こうでもない」と考え込んでしまうと、それだけで気持ちが滅入り、元気がなくなってしまうこともある。そうなると、もはや「考えすぎ病」と言ってもよいかもしれない。
この「考えすぎ病」の初期段階にいる人には、「おまじないをひとつ決めてください」とアドバイスする。何かを考え始めて3分くらいたったら、「はい、おしまい」「ここでストップ」など、分かりやすいフレーズを頭の中で唱える。それと同時に、座っている人は立ち上がり、キッチンに行ってお湯をわかしてお茶をいれて飲む。何かの動作といっしょの「おまじない」のワードは、意外に効果があるものだ。
中には「考えすぎ病」が進行して、「おまじない」では効果がない、という人もいる。そういう人には、「考えるのは仕方ないけど、それと同じ時間、“これからどうする”“とりあえずしたいのは何?”と未来にも目を向けてくださいね」とアドバイスする。
でも、それに対して「分かりました」と納得する人は少なく、決まって同じ答えが返ってくる。「いえ、いま考えていることを解決しなければ、とても今後になんか目が向かないんです」
それは違う。人間というもの、いまどんなに悩みがあっても、心のどこかで「それはそれ」としてやりたいこと、行きたい場所、食べたいものなどのことも考えているはずなのだ。まじめな人は、「そんな場合ではない」と心の中にある願望や未来への芽を押しつぶしてしまう。
そうではなくて、「いま難問が目の前にあるけど、この映画の公開は今週いっぱいか…じゃ、とりあえず見に行っちゃおう」と出かければいいのだ。悩みはいったん棚にあげる。「カッコ」に入れてしばらくは見ないようにする。やりたいことを優先して、そのあとでまた考えればよい。
そして、そうやって「悩みの棚上げ」をして目の前の現実に取り組んでいると、意外に気持ちも軽くなって行くものなのだ。「考えすぎ病」の人、ぜひ試してみてください。