北海道、札幌市のフリーペーパー「スコブル」。香山リカさんのエッセーで心をほぐそう。

スコブル

体と心に効く! エイジレス健康情報マガジン

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スコブルvol.14より

こころのストレッチ

強気な人にはワケがある

 昔もいまも、人間の悩みの9割は人間関係。こう言った占い師がいるが、これ、診察室にいても真実だと思うのだ。
 とくに最近は、「マウンティング」とかいって人間関係で自分がまず優位に立とう、とする人も増えている。会社で地域で、突然、相手に強く出られて困っている、という人も多いのではないだろうか。
 そんな強気な相手に対するには、ちょっとした作戦が必要だ。
 まずは、なぜ相手がそんな態度に出ようとしているのか、その心の内を想像してみること。実は、強気に出てくる人は、心の中では「このままじゃ私のほうが負けてしまう」と思っているからこそ、イバったりエラそうだったりすることがほとんどなのだ。
 つまり、相手はあなたをうらやましいと感じ、コンプレックスを持っているんだ、と考えてみるのだ。
 そして、「いったい何がうらやましいのかな」と今度は自分の中の“よいところ”に目を向ける。若さやスタイルという事実や外見、ファッションのセンス、やさしさとか思いやりといった性格、笑顔とかペットかもしれないし、家族や仕事のスキルという可能性もおおいにある。そうやって振り返ると、きっといろいろな自分の長所が見つかるだろう。また、もしかすると自分では短所だと思っているものを、相手は「私にはこれがない、うらやましい!」と思っていることだってあるのだ。
 そうやって相手と自分のことを冷静に分析して、「そうか、この人、私に劣等感を持っているからムリして強気な態度に出ちゃって」と観察していくと、だんだん相手の弱点も見つかるはず。いつもブイブイ言わせている相手の弱い姿が見えてくると、こちらの気持ちにも余裕が出てくる。
 そして次に、相手に「ちょっと!またこんなミスしてる!」といきなり怒鳴られても、「あ、すぐになおしまーす」とゆとりの笑顔で返せるはず。すると、だんだん相手も強気の態度を引っ込めるだろう。だいじょうぶ、あなたにいくら強気で迫られたって、私は元気でやってるのよ。そう見せるのが、いちばんです。

香山リカさん
香山リカ
昭和35年札幌生まれ。東京医科大卒。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。

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