北海道、札幌市のフリーペーパー「スコブル」。香山リカさんのエッセーで心をほぐそう。

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体と心に効く! エイジレス健康情報マガジン

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スコブルvol.34より

こころのストレッチ

自然体でいこう

 さあ、春が来る。
 この言葉を聞いてうれしくなるのは、高校や大学に入る新入生やプロ野球の開幕を待ちわびた野球ファンだろうか。
 精神科の診察室にいる私にとっては、3月から4月にかけては「新年度の悩み」が多くなる、ちょっと気の重い時期でもある。「夫が単身赴任してしまって、子どもと家に残されて不安」「望まない部署に異動になり、いまからストレスが心配」という人から、中には「昇進したのはうれしいんだけど、プレッシャーに耐えられるだろうか」という人までがいる。どうもまじめな人であればあるほど、この「新年度」という言葉の重みをズシリと受けとめる傾向があるようだ。
 そういう人たちに、私はこうアドバイスをすることがある。
「たしかに4月は学校や職場の節目ですが、でもそれってしょせん、人間が決めたことですよね。春のシンボルのような桜も、東京では3月に咲くし、北海道では5月になってから咲くこともあるでしょう。自然は“あ、4月だ”なんて意識してないんですよ。カレンダーや手帳にあまりとらわれなくていいんじゃないですか」。
 実は、これは自分にも言い聞かせながら話すことだ。私は大学教員でもあるので、つい「これからの新しい年度の目標を決めましょう」とか「みなさんもいよいよ4年だから気を引き締めて」などと、春や新年度にこだわりすぎる話をしてしまうことが多い。学生が気持ちを引き締めて勉強するのはよいのだが、そこで「どうしよう…何をしたらいいんだろう」と不安に陥ってしまう人もいるだろう。
 私自身、春から始まる新しい年度は、とにかくからだに正直に、ムリせず怠けすぎず、やれるときにやれるだけのことをやる、という生き方をしようと思っている。「ああ、もう5月」「夏が終わってしまった」と追い立てられずに、あくまでマイペースでがんばりたい。自然災害、気候変動、そして新しい感染症など、“地球や自然のごきげん”にも十分、注意を払いたい。
 とは言いながらも、やっぱり春には少しだけウキウキした気分も味わいたいもの。私もヘアスタイルなんか変えてみようかな。みなさんも、楽しくナチュラルにいきましょう!

香山リカさん
香山リカ
昭和35年札幌生まれ。東京医科大卒。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。音声アプリ ヒマラヤで「香山リカのココロのほぐし方」配信中。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授
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