北海道、札幌市のフリーペーパー「スコブル」。香山リカさんのエッセーで心をほぐそう。

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体と心に効く! エイジレス健康情報マガジン

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スコブルvol.17より

こころのストレッチ

冬、好きですか?

 「1年で冬がいちばん好き」という人は、どれくらいいるのだろう。診察室ではほとんどそういう声は聴かない。それよりも、「寒いのは苦手なので」「毎年、冬になると気持ちが落ち込んで」と話す“冬ぎらい”の人のほうが圧倒的に多い気がする。
 冬が苦手。これには、ある程度の精神医学的な根拠もある。冬は日照時間が短く、脳の中で日光の影響を受けて作られるメラトニンという物質が不足ぎみになる。その結果、「冬季うつ」と呼ばれるうつ状態が発症することがあるのだ。
 だから、「冬は苦手で」と言う人には、よくこうすすめる。「ちょっと憂うつだからといって部屋にこもらずに、なるべく外に出ましょう。さんさんと太陽が輝いていない曇り空の日でも、それなりに日光は降り注いでいるものですよ」。外に出るのがむずかしければ、せめて日中はなるべくカーテンを開ける。昼夜逆転ぎみの人は、まず朝型にリズムを戻す。これだけでも、「冬季うつ」をある程度は防ぐことができる。
 そして、何より大切なのは「冬ってイヤだな」という先入観を吹き飛ばすことだ。寒さ、アイスバーンでの運転、大雪の除雪、寒冷地では水道の凍結と、たしかに面倒なことや気が滅入ることもある。暖房のための費用だってかかる。夜が長いので外で活動できる時間も自然と減ってしまう。
 しかし、私は思うのだ。ちょっと大げさな話になるが、私たち人類は、この「寒く厳しく暗い冬」をどう乗り切るかと知恵を絞り、そこで文明や文化を大きく発展させたのではないか、と。たとえば、クリスマスにまつわるさまざまな行事もそうだろう。「ソリに乗ったサンタクロース」や「雪を見ながら歌うクリスマスキャロル」のイメージも、すべて寒い地域のものだ。
 そう、豊かな文化は冬にこそ作られるのである。
 そして私たちも、この「冬の文化活動」でひと役買うことはできる。スキーなどのウィンタースポーツ、雪見酒に温泉、子どもがいる人は雪だるま作りなどもいいだろう。もちろん、室内での編み物やシチュー作りなどもグッド。そうやって積極的に「冬よ、ウェルカム!」と迎えることで、気持ちもからだもほぐれていく。それが何より、「冬季うつ」を撃退する“天然のクスリ”になるはずだ。
 さて、今年の冬、私はどんな文化活動をしよう。そうだ、しばらくやめていたアコーディオンの練習を再開してみようかな。もちろん、練習のおともはホットワイン…こんなこと考えるだけで、なんとなくワクワクしてくるとは思いませんか?

香山リカさん
香山リカ
昭和35年札幌生まれ。東京医科大卒。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。
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