北海道、札幌市のフリーペーパー「スコブル」。香山リカさんのエッセーで心をほぐそう。

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体と心に効く! エイジレス健康情報マガジン

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スコブルvol.38より

こころのストレッチ

いつもと違う春だけど…

 今年ももうすぐ春がやって来る。
 いつもなら「さて、何をしようか」とウキウキするところだが、コロナ禍の緊張がまだ続く中では、そうもいかない。私が教員をしている大学では、4月の入学式は挙行するものの、「本人だけ出席。家族同伴はNG」となりそうだ。毎年、式を華やかにいろどる聖歌隊の合唱もナシ。そうなると「なんだかパッとしないし、行くのをやめようかな」と思う新入生も出てきそうだ。
 その気持ちはよくわかるが、私は「せっかくの機会があるなら、気持ちだけでも盛り上げようよ」と思う。この「盛り上がり」には、必ずしもハデな演出が必要なわけではない。ゴージャスなファッションやメイク、大音響の音楽、ライトアップや3D映像などがなくてもだいじょうぶ。たとえば入学式なら、心の中で「苦しい受験勉強を乗り越えて、私よ、よくやった…」と自分に言い聞かせて、ひとりでジーンと感動をかみしめることもできるはず。これだって十分な盛り上がりだ。
 心の中で想像したり自分にことばをかけたりして、気持ちを高めることができる。これは人間にだけ与えられた能力だ。いくら頭のよいペットのイヌでも、「昨日、自分が散歩でがんばって走ったことを思い出して、うれしい気持ちになる」というのはムリだ。ときに全速力で走り、「ボクってすごい!楽しい!」と思うのがせいぜいだろう。
 心の中だけで、ことばだけで盛り上がれる。人間にだけ与えられたその特性を、こういうときこそ使わない手はない。遠くに旅行に行けなくても、以前、旅をしたときの気持ちを思い出したり、コロナが収束して旅に出たときの気分を想像したりして、心をウキウキさせることもできるはず。旅行ガイドや写真集などがあれば、いっそう“心の旅”の臨場感も増すだろう。
 さて、私はこの春、どうやって自分を盛り上げよう。そうだ、私は趣味で中国語を習っているから、春休みの現地語学学校に行くかわりに、ギョーザを皮から作ってみよう。自分で「ギョーザが完成するまでは日本語禁止」とすれば、プチ留学気分も味わえそう。
 ハデさがなくたって心は盛り上がる。あなたもぜひ自分だけのウキウキを感じてみてください。

香山リカさん
香山リカ
昭和35年札幌生まれ。東京医科大卒。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。音声アプリ ヒマラヤで「香山リカのココロのほぐし方」配信中。精神科医、立教大学現代心理学部映像身体学科教授
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